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第3回 【現地取材】「病院の屋上」が地域の交流拠点に変わるまで
竜操整形外科病院に学ぶ、 クラウドファンディング活用がもたらした地域と病院、職員同士のつながり
屋上を「地域の交流拠点」に ― クラウドファンディングに挑戦
「暑い夏でも、子どもたちが外で安全に遊べる場所をつくりたい」
そんな思いから、竜操整形外科病院の屋上スペースは、2年目の夏、世代を超えた交流拠点へと育っていきました。
医療法人相生会 竜操整形外科病院では、築30年の病院屋上を「地域のための交流スペース」として再生するプロジェクトを実施。今年のクラウドファンディングでは目標金額500万円に対し560万500円、支援者135人・達成率112%という成果を上げ、屋上には人工芝が敷かれました。

アルファエネシアも本プロジェクトを微力ながら支援させていただいたご縁で、今回、屋上スペース完成披露会に足を運ばせていただきました。会場では、プロジェクトの中心を担われたリハビリテーション科科長・理学療法士の川口直樹さんに、立ち上げの経緯や、目標達成までに重ねてこられた地道な取り組みについて、直接伺うことができました。

屋上ミニプールの大盛況がきっかけ 人工芝で、世代を問わず集える場所へ
「病院というと、病気や怪我といった印象がすごく強いと思うんですが、そうではなくて、病院としての基本をしっかり果たしながら、地域と自然に繋がって健康を育む拠点になっていきたい」(川口様)
まずは子どもたちが外で安全に遊べる場所をつくりたいという思いから、昨年、地域貢献を目的とした団体に、病院の屋上を無償で利用してもらい、プールを開きました。
この取り組みは日を追うごとにメディアや口コミを通して認知が広がり、利用者数は総計2,794名(お子様1,672名、保護者1,122名)にのぼり、放課後デイサービスを利用する子どもたちにも活用されました。

これだけ多くの子どもたちが屋上を駆け回るようになると、課題として見えてきたのが、照り返しの強いコンクリート床でした。「もっと子どもたちが安心して走り回れる環境にしたい」「子どもや高齢者に関係なく、通年利用できる屋上スペースにしたい」――そんな思いから、人工芝を敷くことが起案されました。
クラウドファンディングは「お金を集める」手段ではなく「繋がりを作る」手段
病院の予算だけで整備することも可能だった中、あえてクラウドファンディングを選んだ理由は、資金を集めること以上に、地域の方々や支援いただく企業との繋がりを築きたいという考えがありました。
「クラウドファンディングでお金を集めようというイメージが強いと思うが、そうではなくて、地域や関係性のある企業と一緒に作り上げたいと考えていました。いざ始めてみると、金銭的な支援だけでなく、アドバイスや応援をたくさん頂くことができ、それが職員の力になって、プロジェクトの成功につながりました」(川口様)

プロジェクトメンバーは「公募制」 職員の当事者意識と、支援者一人ひとりを大切にする思いが形に
「誰一人として『自分には関係ない』という人はいなかったと、間違いなく思っています」(川口様)
プロジェクトの中心メンバーは「公募制」で募られ、院内から職種を超えて8人がボードメンバーとして集まりました。多忙な現場業務の合間を縫って、チラシを持って近隣施設や企業に足を運んだり、プロジェクトの趣旨や思いを丁寧にメールで伝えたり、SNSでも発信したりと、職員自らが動きました。
髙柴賢一郎院長は、このプロジェクトを院内スタートアップ事業として位置づけ、最終的な責任は病院側が持つという役割分担も明確化。企画運営を職員に全て任せたことで、メンバー一人ひとりに、通常の業務の枠を超えたやりがいが生まれました。地域貢献と同時に、マネジメントや実践的な経営経験を積む場としても有用な機会になっており、引き続き運営メンバーを応援していきたいと話しています。

人工芝設置後が「スタート」 夏祭りや健康づくりの拠点も見据えて
完成披露会当日は、屋上交流スペースの「愛称」を来場者投票で決定する企画や、地元カフェの協力によるかき氷提供なども行われており、プールという枠を超えて「地域の日常に溶け込ませる」段階に進んでいる印象を受けました。
今後はプール運営以外にも、夏祭りの開催や健康づくりの拠点となるような企画を立てているといいます。

今回の屋上人工芝の設置の取り組みは、Yahoo!ニュースや地域新聞にも取り上げられ、病院の認知がさらに広まるきっかけともなりました。
病院・介護施設の屋上・駐車場の一角・ロビーなど、"使われていないスペース"を地域に開く発想、そしてクラウドファンディングの活用は、多くの企業や個人との結びつきや応援を生みます。
私たちも竜操整形外科病院の取り組みを応援させていただき、またどこかで「その後」のお話を記事に書き留め、皆様にお届けできればと思います。

2020年入社。日経ヘルスケアへのアルファエネシアのLED導入事例紹介で、30施設以上の医療機関へのインタビューに携わる。