2026-09-28

第5回 残業月200時間→50時間へ 熊本中央病院のスマートフォン導入事例

【後編:アプリ・AI編】

前編では、熊本中央病院がスマホ導入に至った背景と、その土台となったインフラ整備について伺いました。このたびの後編では、実際に現場で使われているアプリケーションと、AIが記録業務や医療の質にもたらした変化について詳しくご紹介します。

リアルタイムでつながる
LINE WORKSが変えたコミュニケーション

──スマホ導入後、現場のコミュニケーションはどう変わりましたか。‍

鳥飼 大きいのはLINE WORKSです。今まではPHSしかなかったので、ドクターが手術中や処置中で電話に出られない場面が多くありました。つながらないので何度もタイミングを見計らって連絡し直す、ということがよくあったんです。今はLINE WORKSに用件を残しておけば記録として残り、既読がつけば見てもらえたこともわかります。数百人規模への一斉通知もでき、全体への共有事項がある際も大変便利です。

──これだけの台数を運用するうえで、セキュリティ面はどう管理されていますか?

鳥飼 MDM(モバイルデバイスマネージャー、SPPM3.0)でセキュリティを一括管理しています。これは絶対に必要なものですね。

Sail AIの音声自動書き起こしで
記録業務の負担を激減

──導入されているAIアプリについて教えてください。

鳥飼 株式会社ispecが提供する『Sail AI』です。診察や看護の現場で、録音を開始すればすぐに内容を書き起こしてくれるので、記録にかかる時間が大幅に減りました。患者さんに何を話したか、何を用意してもらったかも文書として残るので、後から記憶を辿って記録する負担が大幅に減りました。本来医師や看護師としてやりたかったことに、時間を割けるようになっています。

──電子カルテの情報はAIでどのように利活用しているのですか?

鳥飼 AWSの『GenU』を使って資料作成に関わる業務を大幅に削減しています。転院の際に必要な資料の作成も、これまで30分ほどかかっていたものが、数分でできるようになりました。介護保険の更新や生命保険会社に提出する診断書なども、それぞれのフォーマットで作成することができています。以前は患者さんのこれまでの診察や処置の履歴を見ながら作成していましたが、概要を一瞬で呼び出せるため時間の短縮が実現できています。

──具体的な成果としては、どのくらいの変化がありましたか。

鳥飼 最初にAIを導入したのは今年の2月、60床の病棟からでした。この病棟では毎月200~250時間ほどの残業がありましたが、4月、5月ぐらいからAIの便利さに慣れてきた、といった現場の声が上がり、7月度の残業は月50時間ほどまで減りました。AIの活用はまだ業務の一部です。これから更に便利に活用されるだろうと感じています。

熊本中央病院のスマートフォン活用例

AIやスマホの活用を一部の人だけに留めない
使いやすさは現場が決めるボトムアップ方式

──スマホやAIを活用した新しい仕事の仕方を、どのように職員に定着させていったのでしょうか?
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鳥飼 AIツールの導入は、トップダウンで決め打ちするのではなく、推奨できるものを選定したうえで、現場に一定期間使ってもらっています。使いやすいものを現場自身に選び取ってもらう、という進め方です。看護師と医師、医療ソーシャルワーカーとでは使い方も異なるので、それぞれの現場に任せて自分たちに合った使い方を作り上げていく。それが成果につながっていると思います。

──ツールを選定するうえで、重視されていることはありますか。
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‍鳥飼 今活用しているサービスは、どれも職員が直感的に操作できる、使いやすいものを選んでいます。院内にSEを置いてしまうと、その人ができなければ実現できず、やりたい事も進められなくなってしまう。そのため、外部のサービスの中から誰にでも使えるものを使ってもらい、良いものをどんどん採用していく、という考え方を持っています。

この先も進む業務効率化の未来予想図
患者情報の読み取りや遠隔対応も

──今後、スマホの活用の仕方としてさらに広げていきたい領域はありますか。
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‍鳥飼 今は入院患者さんの手首につけたバーコードを、電子カルテ専用の端末センサーで読み取って本人確認をしています。これを将来的には、スマホをかざして読み込ませて認証させたい(3点認証)と考えています。今までパソコンでやっていた機能をスマホに置き換えていく流れは、これからも進んでいくと思うので、上手く活用して人が少なくても回る職場、なおかつ職員の負担も減らし、多様な働き方ができる職場を実現したいですね。

──「働き手がいなくなる」という事態へ十分な対応につながりますね。
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鳥飼 そうです。例えばうちのスタッフでも、子どもが病気になった日に、自宅である程度の仕事ができる。そうしたバーチャルな働き方ができれば、病院の都合ではなく、職員のライフスタイルに合った働き方ができるようになります。また会計業務についても、遠隔で他県にいる担当者が対応する仕組みが実用化できれば、人材確保の幅も広がります。そうした柔軟な工夫ができれば、これからの労働力不足に対応できると思います。
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まとめ

多くの病院や介護施設にとって、スマホ導入でどれくらいのコスト削減や業務効率化が見込めるのか?多額の投資に見合う効果が得られるのか?難しい意思決定を迫られているのが実情だと思います。しかしこのたびご紹介した熊本中央病院をはじめ、先行事例も多く出てきており、想定されている以上のインパクトある成果が上がっているのは確かです。

 効果を最大化する鍵は、単にシステムを導入するだけでなく、医師・看護師・事務員など、それぞれの職種に合った使い方を一緒に見つけて仕事を変えていくことです。スマホやAIの導入は、間接コストを下げると同時に、本来医師や看護師がしたかった仕事により多くの時間を割くことができ、医療の質も上がる好循環を生み出します。

こうした事例を、皆さまの経営判断に役立てていただければ幸いです。今後も、他の施設でのスマホ活用事例をお届けしていきます。

(2026年8月20日収録)

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チラシURL
https://drive.google.com/file/d/12oc3Fy_w1LM8US-6S60SHRiLh37i72xd/view?usp=sharing
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WEBページ
https://www.miraicare-labo.com/services/hospitarun
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▼前編はこちら

本田 優花
(
ほんだ ゆか
)
アルファエネシア広報/MIRAI CARE LABO WEBマスター

2020年入社。日経ヘルスケアへのアルファエネシアのLED導入事例紹介で、30施設以上の医療機関へのインタビューに携わる。

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